UTMB2024: Trient (U13)からVallorcine (U14)へ

夜明けとともに進む:カフェインで覚醒

Trientを出発する時、空は徐々に明るくなり始め、夜明けの兆しが見えた。暗闇を抜け、朝の冷たい空気が心身を包み込む。夜の厳しさから解放され、30kmという残り距離がわずかな希望を感じさせた。だが、体力はすでに限界に近づいており、ここで再びカフェインピルを0.5錠(100mg)追加する。体を覚醒させ、ゴールに向かうための最後の力を振り絞ろうとする決意が強まる。カフェインが体内に広がり、徐々に集中力が戻ってくるのがわかる。

しかし、その希望はすぐに試練へと変わる。頭がすっきりしても、脚に蓄積した疲労感は消えない。特に脚の痛みが強く、次の登りに向けて気を引き締める必要があった。

登りの始まり:恐れていた山

Trientの街を1kmほど進むと、いよいよ次の大きな登りが始まる。この登りは、事前にコースプロファイルで確認していた中でも最も恐れていた区間だ。地図上では、登りがジグザグに折り重なり、非常に時間がかかるだろうと予測していた。35分/kmという想定タイムで計画していたが、実際に登り始めると、予想より少し緩やかに感じられた。それでも疲労が溜まった脚にとって、この登りは容易ではない。

ふと顔を上げると、周囲のランナーたちも静かに登り続けている。お互いに声を掛け合うこともなく、ただ脚を動かすことに集中している。自分も同じように淡々と進むしかない。手元のClimbProで勾配を確認し、呼吸を整えながら進んでいく。足の痛みが増していくが、もう後戻りはできない。この辺りから太陽の光がきつくなり始めた。

チェックポイントLes Tseppesへの道:足取りは重くとも淡々と進む

登りが続く中、斜度が急になったり緩やかになったりと、道は予想以上に変化に富んでいる。脚にかかる負担が増し、疲労が襲ってくる。それでも、止まるわけにはいかない。Les Tseppesのチェックポイントが近づく頃、体は限界に達しているものの、足を止めずに進み続ける。先に見えるランナーたちの姿が、わずかな希望を与えてくれる。

チェックポイントでは短い休憩を取ることもなく、再び前へ進む。勾配は少し緩やかになるが、登りはまだ続いている。心の中では「あともう少し」と自分に言い聞かせながら、一歩一歩確実に進む。

下りへ:山々の絶景と痛む足

やっとのことで登り切ると、目の前には雄大な山々が広がり、遠くには山の中腹に作られたダム湖の堤防が見えた。その景色は美しく、まるでゴールがすぐそこにあるかのような錯覚を引き起こす。しかし、現実は違った。ここからの下りは新たな試練の始まりだった。

足指と足裏の痛みが一層増し、スピードを出すことができない。慎重に、ゆっくりと進むしかなかった。下りの途中で登り返しが現れるたび、心が少しずつ削られていく。高度を下げながらも、心は焦り、痛みが精神にまで影響を与えてくる。遠くに見える山々の美しさを感じながらも、その美しさを楽しむ余裕は残っていなかった。

Vallorcineへの急な下り:最後の試練

Vallorcineに近づくにつれ、下りの勾配がさらに急になり、足や膝への負担は限界に達した。残り2kmほどの区間は、まるで体が引き裂かれるような感覚だった。痛む足と膝に耐えながら、一歩一歩慎重に進む。目の前にVallorcineの街が見え始めるが、痛みが全身に広がるたび、その距離が遠く感じられる。焦りが募り、次第にペースが乱れていく。脚が完全に終わった人がトレッキングポールを頼りに慎重に下っていく。

Vallorcine到着:時間との闘い

ついにVallorcineに到着した時、時計を確認するとPlan Aからはすでに2.5時間遅れていた。Plan Bとの差もわずか20分しかなく、時間的余裕はほとんどない。エイドステーションは線路の反対側にあり、遠回りしてようやく到着した。焦りが心を支配し、残りの時間が限られていることがプレッシャーとしてのしかかる。それでも、次のセクションに向けて体を整え、痛む足を再び動かす準備をする。ゴールはまだ遠いが、止まるわけにはいかないのだ。


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