UTMB2024: Champex-Lac (U12)からTrient (U13)へ

エイドでの苦悩:眠れない仮眠とカフェインの決断

Champex-Lacでのエイドステーションに到着した時、疲労(肉体というより精神的疲労)はかなり極限に達していた。少しでも仮眠を取ろうと、仮眠ができる休憩エリアでしばらく横になったが、神経が高ぶっているのか、眠ることはできなかった。時間だけが過ぎていくのを感じながら、自分の体力を何とか回復させようと考える。仮眠が不可能だと悟ると、自分にとっての眠気対策のセオリーに従い、カフェインピルを飲むことにした。300mg、カフェインピル1.5個分。これで体を無理やり覚醒させ、次に向けた一歩を踏み出す準備をする。

暖かいエイドステーションを出ると、冷たい夜の空気が体に触れた。深夜の気温は予想通り低く、寒さに慣れるまでにしばらく時間がかかる。だが、カフェインが効き始めるとともに、気持ちも少しずつ切り替わっていった。あと50km弱という距離を考えると、まだ先は長いが、着実にゴールへ近づいている。その思いが唯一の希望だった。

Plan de l’Auまでの下り:静かな闇の中での淡々とした進行

Champex-Lacの街を出ると、最初は緩やかな下りが続く。この区間は特に技術的な難所はなく、単調な道が続く。周りの景色は闇に包まれており、進むべき道にだけ意識を集中させることが求められた。疲労で集中力が途切れそうになるたびに、川の流れの音や、遠くに見えるランナーのヘッドランプの光が、自分を進める力となる。

この辺りの道は広くはないが、目を凝らすとコース脇で休憩しているランナーたちが見える。彼らの疲れ切った表情を横目に、自分は歩みを止めることなく前へ進む。ここでの休息も、ゴールに間に合う作戦かもしれないが、自分にはその余裕はなかった。

Trientへの登り:カフェインが効いても辛さは変わらない

Plan de l’Auを過ぎると、再び登りが始まる。この登りの最初の勾配はかなり緩やかで、脚もまだ動いていた。Garmin時計に表示されるClimbProを見ながら、少しずつ一歩一歩ペースを保って進む。カフェインが効き始めていたため、体は覚醒しているが、登りが進むにつれて勾配が徐々に厳しくなり、脚への負担が増していくのを感じた。

途中、道はジグザグに曲がりながら登っていくが、自分がどこにいるのか分からない状態で進む感覚が続く。時折風が強まり、冷気が体にしみる。夜の静けさの中で、遠くの眼下に街の街灯らしき光が見えた。それがTrientなのか、別の街なのかは分からないが、その光がかすかな希望となり、疲れた体を再び動かし始めた。

山頂からの下り:痛みと孤独の協調

ようやく山頂を越え、La Gièteという牛小屋を改造したような小さなチェックポイントに到着。簡単な補給を済ませ、暖かい紅茶をフラスクに入れて再び歩みを進める。しかし、下りに差し掛かると再び足の痛みが襲ってきた。下りは本来スピードを出せる区間だが、足指と足裏の痛み、そしてここに来て膝痛が強まってきているため、走ることはできず、慎重に歩くしかない状態だった。

他のランナーたちも同じように、静かに、黙々と下りを進んでいる。足の痛みを感じながらも、誰も弱音を吐かず、後ろから抜いていくランナーもほぼ皆無で皆が協調して進んでいく。その姿に、無言の連帯感が生まれていた。

Trient到着:遅れを意識しつつも進む決意

Trientの手前でようやく長い夜が明け始め、ようやくTrientにたどり着いた時、夜は明けようとしており、時計はPlan Aから何と2時間の遅れを示していた。遅れが少しずつ大きくなっていることを実感し、焦りを感じたが、それでもPlan Bまではまだ1時間の余裕があった。足の疲れと痛みは依然として強いが、ゴールに向けた次のステージに進む準備はできていた。カフェインの力もあり、ここまで来た以上、進まなければならないという決意が再び心に沸き起こった。


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