UTMB2024に挑んだこのシリーズでは、各セクションごとにレースの模様を詳しくお届けしている。しかし、このブログの読者の皆さんにとっては、筆者がどこでカットオーバーになるのか、あるいは無事にシャモニーのフィニッシュラインに到達できるのかは、まだ明かされていない。レースの展開とともに、緊張感と期待感を持って読み進めてほしい。果たして、筆者はこの過酷な176kmを走り抜くことができるのか、それともどこかで万策尽きて力尽きてしまうのか——それは、最後まで読み続けることでのみ知ることができる。
各セクションの詳細な描写を通して、レースの進行や体力の限界、精神的な戦いを追体験しながら、最終的な結末を予想しつつ楽しんでほしい。
Saint-Gervais(U2)の賑やかな応援を背に、次の目的地であるLes Contamines (U3)に向かう。この区間は約9.6kmの距離で、標高差は350mとそれほど大きくないが、徐々に高度を上げていく地形が特徴だ。時刻は夜10時近くになり、辺りは完全に暗くなっている。ヘッドランプの光だけが頼りとなるが、この静寂の中でのランニングには独特のリズムと集中が必要となる。
ペース管理:ガーミンでのランニングパワー確認
この区間での最大の課題は、自分のペースをしっかりと保つことだ。1kmごとに設定したペース表と、手元のGarminでランニングパワーを確認しながら進む。練習を重ねてきた結果、最適なペースの基準として、心拍数ではなく、ランニングパワーを利用している。200Wを超えるとプッシュしすぎだと感じ、逆に160Wだと少し物足りない。200Wのラインを意識しすぎると後半の体力に影響が出るため、180W前後を目安に進むことを心がける。これは、レースだからといって特別なことをしているわけではなく、練習から培ってきた感覚だ。
特にこの区間では、無理にペースを上げる必要はないとわかっている。大きな登りがない分、慎重に脚を温存しながら進むべきだ。コースは緩やかに高度を上げるため、息が切れるような急登ではないが、じわじわと体力を削られていく感覚がある。
Plan AとPlan B:二つのシナリオに基づいたペース管理
レース全体におけるプランは二つ。Plan Aは理想的な展開で進む場合のタイム設定であり、Plan Bはカットオフに引っかかるギリギリのペースを想定している。このLes Contaminesへの区間でも、1kmごとに両プランを比較しながら進んでいく。現時点では、Plan Aにほぼ沿ったペースで進めており、焦りは全くない。このままの調子で行けば、次の難所に備える余裕がある。
行動中、Garminでランニングパワーを定期的に確認するのは、メンタル的にも安定感をもたらしてくれる。自分の体力を過信することなく、データに基づいた走りを心がけることが重要だ。1kmごとに目標タイムを確認しながら、ペースの狂いがないかを確認するのは、練習通りのルーティンであり、レース中も冷静でいられる要因となる。
Les Contaminesへの到着:体力の余裕を感じながら
Les Contaminesには、ほぼ予定通りの時間で到着した。Plan Aに近いタイムで、足の疲れもまだほとんど感じていない。これまでの慎重なペース管理が功を奏し、無駄なエネルギー消費を避けてきたことがわかる。脚の疲労が全くないわけではないが、この時点での体力状況としては理想的なものだった。
エイドステーションに到着すると、必要な補給や水の入れ替えなど、短い補給をしてすぐに次のセクションへと向かう準備を整える。Les Contaminesの周りは静かで、夜の冷たい空気が身体を包むが、それが逆に気持ちを引き締めてくれる。このままのペースで進めば、次の大きな登りにも余裕を持って挑めるだろう。
次のセクションからは、さらに険しい道のりが待ち受けているが、今のところ順調なレース展開に自信を深める。

