Refuge Bertone (U9)まで来た今、ここからの道のりはまだまだ長いが、この先どこまでたどり着けるのか、読み進めて欲しい。
短い登りの後の平坦な道:景色を眺める余裕はない
Refuge Bertoneを出発してから最初の50メートルは、登りだ。足元は細かい石が散らばっていて、一歩一歩踏み出すたびに体の重さを感じる。登りきると、目の前には平坦な道が広がっていた。その先にそびえるモンブランは、雲一つない空の下で、いつも以上に雄大に見える。自然の壮大さに圧倒される瞬間だ。しかし、その景色に目を奪われている余裕はない。自分に課せられたのは、ただひたすら進むことだけだ。
この区間は試走していることもあり、コースの様子は分かっている。けれど、レースの途中では試走時とまったく異なる感覚に襲われる。体力はすでに消耗しており、足の痛みがじわじわと増していく。喉の痛みも一向に消えない。風邪ではないことは体の動きから分かっていたが、それでも気になるものは気になる。頭に浮かぶのは、この痛みがどこまで続くのかという不安だ。また、照り付ける日光。
Refuge Bonattiまで:見えない苦しみが続く
コースの平坦な部分は続くが、まるで進んでいないような感覚に陥る。平坦な道にもかかわらず、脚が重く、足元が不安定に感じる。このエリアは試走していないため、どのようなコースとなっているのかは未知の領域である。
Refuge Bonattiまでの道のりは、標高差100メートルの登りが、想像以上に脚に負担をかけてきた。Bonattiに到着しても、滞在時間は短めにして水を補給するだけに留める。まだ先が長いからだ。再び進むことを決断するが、脚はもう限界に近づいている。
Arnouvazへ:急な下りに脚が悲鳴を上げる
Refuge Bonattiを出発してからの道は、再び平坦基調で進んでいく。しかし、進むに連れて、目の前に下り坂が見えてくる。残り2kmのところから、徐々に下り勾配が急になり始め、脚にかかる負担が一気に増してくる。下りは、本来であればスピードを上げられる区間だ。だが、今回はそうはいかなかった。足の裏が痛み始め、足指が重くなり、脚全体に疲労がたまっていく。
それでも、一歩一歩を丁寧に進めていくしかない。急な下りは脚に負担をかけ続け、痛みが蓄積されていくのを感じた。この下りが長く感じられ、足が悲鳴を上げるたびに、焦りが頭をよぎる。周りのランナーたちも、同じように苦しみながら進んでいるのが分かる。だが、止まるわけにはいかない。
Arnouvazが見えてきたとき、ようやく少しだけ安心感が生まれた。Plan Aから約20分遅れで到着したが、脚はまだ動く。レースの半ばを過ぎているが、まだ終わってはいない。Arnouvazで短い休息を取り、再び進む決意を固める。