UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)を完走するという目標は、トレイルランナーにとって憧れであり、同時に大きな挑戦です。私自身、2020年1月に30kmのトレイルランを経験してから、4年半の歳月を経てついにUTMBを完走しました。ここでは、その道のりと、これからUTMBを目指す初心者ランナーへのアドバイスを簡単に紹介します。
4年半の道のり:30kmからUTMB完走まで
私のトレランの本格的な旅は、2020年1月の30km走から始まりました。当時はまだ膝の痛みに悩まされており、走ることが非常につらかったことを覚えています。5㎞程度のトレランでも膝の痛みが出ていました。しかし、なぜか膝の痛みはその後自然に治まり、現在に至ります。これには、脚のガニ股を矯正したことや、徐々に距離を増やす中で体が走ることに慣れていったことが関係しているのかもしれません。(膝痛が治った正確な理由は不明です・・・)
その後、距離を徐々に伸ばしていくことで、トレランに必要な長距離耐性を身につけていきました。30kmを超え、70km(ITJ)、100km(OSJ KAMI)、さらには100マイル(信越、Thailand by UTMB)のレースにも挑戦し、累積標高も最初は7,000m弱から、最終的には10,000mを超えるコースを走るまでに成長しました。
初心者が目指すべきステップ
UTMB完走までには、個人差はあるものの、一般的には3年から4年程度の時間がかかることが多いでしょう。私自身の経験を基にすると、以下のようなステップで徐々に目標に近づいていくことが大切だと感じます。
- 膝や脚の痛みを克服する:トレイルランニングは膝や脚に大きな負担をかけるスポーツです。最初の段階では怪我をしやすいため、自分のフォームを見直したり、無理のないペースで距離を伸ばしていくことが重要です。私の場合も、膝の痛みがありましたが、体の使い方や走り方を改善することで自然に痛みが解消しました。
- 徐々に距離を伸ばす:最初は短い距離(例えば30km)から始め、レースで徐々に70km、100kmと距離を伸ばしていきます。いきなり長距離に挑戦するのではなく、体を徐々に慣らすことで、レース中の負担も軽減できます。
- レースを活用して耐性を高める:長距離の耐性は、トレーニングだけでなく、実際のレースを走ることで身につけることができます。私の経験では、練習で50km以上走る必要はなく、レースを重ねることでマッスルメモリーが強化され、自然に耐久力が身についていきました。
- スピードは求めすぎない:完走を目指すのであれば、走る速度に固執しないことが大切です。私はこの間フルマラソンに出たことは一度もなく、ハーフマラソンも2023年に2時間10分程度でした。高尾の日影沢林道は走って登れませんし、ヤビツ峠走は1時間半くらいですかね。速さよりも、いかに体力を温存してゴールまでたどり着くかが重要です。そのためには出力の管理が欠かせません。要はランニングパワー(ワット)。下りはあまり意識する必要はありませんが、登っている時に自分がどれくらいのワットで登っているのかは無意識で把握できるくらいになる必要があります。普段の練習でも、単に気合を入れて追い込んだり、自由気ままに走っていては完走にはたどり着かないでしょう。
UTMBに挑戦するなら5年スパンで計画を
これからUTMBを目指す方に私からのアドバイスは、多く見積もって5年スパンで計画することです。UTMBは距離も累積標高も非常に厳しいレースであり、時間をかけて体を作り上げる必要があります。そして何よりも、「完走」を目指すならば、決してスピードを求める必要はありません。むしろ、耐久力とレース中のエネルギー管理、レース中の行程計画が成功の鍵となります。
UTMB出場のためのハードル:ストーン集め
UTMBに出場するためには、単にトレーニングを積むだけでなく、出場権を得るための「ストーン集め」が大きなハードルになってきました。出場権を得るためには、byUTMBのトレイルレースでポイント(ストーン)を集める必要があります。1ポイントあればUTMBの抽選の権利が与えられますが、1ポイントでは当選確率は限りなく低いです。当選が近年難しくなっており、出場自体が狭き門になっているのも事実です。10ポイントでも当選するかどうかは五分五分くらいだと思います。
日本でストーンを集められるby UTMBの大会がようやく2025年から開催される(「Kaga Spa Trail」)ことになりましたが、100Kで3ポイントしかもらえません。恐らく3ポイントだとUTMBに当選する確率はかなり低いと思われます。
まとめ
UTMB完走までの道のりは決して簡単ではありませんが、長期的な視点で計画を立てることで達成可能です。トレイルランニングは、一歩一歩確実に前進することが成功への近道です。時間をかけて、距離と標高差に体を慣らし、焦らず自分のペースで目指しましょう。