UTMB2025が終わり、今年もさまざまなドラマが生まれました。トップ選手たちの熱戦や日本人ランナーの活躍に目を奪われますが、私が気になってしまうのは「シニア世代」、つまり60歳以上の挑戦者たちの姿です。100マイルという距離に挑むのは若い世代でも過酷ですが、還暦を過ぎてもスタートラインに立つランナーがいることに驚かされます。そして、今年の数字を見てみると、やはりいろいろと考えさせられる結果でした。
UTMB2025における60歳以上の結果
私が調べたところ、今年の結果は次のとおりです。
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75–79歳:男性 0/2
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70–74歳:男性 1/8
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65–69歳:男性 4/21、女性 0/4
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60–64歳:男性 32/74、女性 3/13
数字は完走者/参加者を示しています。見ていただくとわかるように、60歳以上になると完走率はぐっと下がります。64歳までは一定の完走者数が出ていますが、65歳を超えると数字は一気に厳しくなり、70代での完走は本当に奇跡的なことと言えそうです。
「60代で100マイル」の現実
もちろん、他人の選択にどうこう言うつもりはありません。誰もが「まだ走れる」と思うから挑戦しているのだと思いますし、その気持ちは尊敬に値します。ただ、冷静に数字を見ると、60代で100マイルに挑むのはやはり過酷すぎると感じてしまいます。
正直なところ、40代中盤の私でも100マイルはすでに「ギリギリ」だと感じる場面が多くなってきました。体の回復力は確実に落ちていますし、日常生活や仕事とのバランスを考えると、練習に割ける時間も若い頃のようにはいきません。年齢的に、そもそも練習しても現状維持がせいぜい。。そう考えると、60代で100マイルを完走できるというのは本当に限られた人にしかできないことだと思います。
自分のプラン:100マイルの“卒業”
今、私は40代後半です。100マイルに本気で挑める期間はせいぜい50代前半までではないかと思っています。そう考えると、残りの「全力で走れる10年」はあっという間に過ぎてしまうのかもしれません。
ただ、悲観はしていません。むしろ、これからは徐々にステージを移していこうと考えています。byUTMBをはじめ、世の中には100㎞カテゴリーの大会も数多くあります。まずは100㎞に軸足を移し、60代では50㎞程度のレースを楽しむ。そして普段の山ランやハイキングで「山と共に生きる時間」を増やしていく。縦走ハイクなどもやってみたい。そういう自然な流れが心身ともに健全ではないかと感じているのです。
「挑戦を続ける人たち」との違い
一方で、50代でもバリバリ100マイルを走り続けているランナーもたくさんいます。SNSを見れば、60代になっても果敢に挑戦している姿を目にすることもあります。では、彼らは年齢を重ねてもなお100マイルを主戦場にし続けるのでしょうか。それとも、どこかで距離を短縮し、新しい楽しみ方へ移行していくのでしょうか。
その答えはまだ分かりません。ただひとつ確かなのは、「挑戦を続けたい気持ち」と「現実の体力」との間には必ずギャップが生まれるということです。どこで折り合いをつけるか。その判断こそがシニア世代のランニングライフを形づくっていくのだと思います。
「意味」を問い直す
100マイルには確かに大きなロマンがあります。走り切ったときの達成感は、他の距離では得られない特別なものです。ただ一方で、無理をして完走することにどれほどの意味があるのかと、自問することもあります。体を壊してまで走る必要はあるのか。家族や仕事を犠牲にしてまで「完走」という勲章を追い求めるべきなのか。
気持ちはまだ若くても、体は年齢とともに必ず衰えます。その現実をどう受け止めるかは人それぞれですが、私は「無理をせず、長く走り続ける」ことを選びたいと思っています。100マイルを卒業しても、山を走る喜びがなくなるわけではありません。むしろ距離を縮めることで新しい楽しみ方が見えてくるはずです。
結びに
UTMB2025の結果を眺めながら、改めて「年齢と100マイル」の関係について考えさせられました。60代以上での完走率の低さは、ただの数字ではなく、現実の肉体的な限界を示しているのだと思います。挑戦すること自体は素晴らしいですが、その一方で、無理をせず次のステージへ移る勇気も同じくらい大切なのではないでしょうか。
40代後半の私に残された時間は長くありません。だからこそ、これからの10年をどう走り、どう楽しむのかをしっかり考えたいと思います。そして100マイルを卒業した後の「セカンドステージ」を見据えながら、自分らしいランニングライフを続けていきたいと思います。
